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 新年1月7日、多くの棋士が気持ちを新たに打ち初めに臨んだ。日本棋院本院「幽玄の間」では羽根直樹と黄翊祖が顔を合わせた。

 立ち上がりの左下に注目していただこう。黒5、7に白8とコスんで10、12と治まるのはごくふつう。続いて黒がAやBと構えるまでが定石とされている。しかし黒番の黄は手を抜いた。

 解説の蘇耀国九段によると、これはかなり以前から張栩九段が試みている進行で、蘇解説者自身も好んで使うことがある。序盤早々に10、12と内にこもるのを、張は白がつらいと判断しているのだという。

 黒が丁寧にAまたはBと1手かければ、それでも互角の分かれになる。つまり、省略してしまえば黒を持ちたい、という考え方だ。

 「張さんの碁を翊祖くんは相当研究しているはず」と蘇解説者。黄は、台湾出身の先輩にあたる張を、子どものころから目標にしてきた。また、プロ入りしてからも張になかなか勝てず、大きな壁になっていた。

 黄は左上13のカカリを決めると、右下15のハサミにまわった。「すでに打ちやすい局面になっていると翊祖くんは思っている。間違いないでしょう」と蘇解説者は断言した。

 羽根は11分考え、白16とカカった。ふつうの一手に見えるが、ここから羽根の苦難が始まった。

(内藤由起子)

 消費 黒:10分 白:46分 (持時間各5時間)

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