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 2015年の囲碁界で一番つらい思いをしたのは誰か。記者はまっさきに39歳の高尾紳路の名を挙げる。

 10代、20代が各棋戦で結果を出す時代にあって、高尾は14年に天元と十段の二冠を獲得し、存在感を示した。しかし十段を21歳の伊田篤史に奪われ、5年ぶりに名人挑戦者となって勢いを吹き返したかと思えば、26歳の井山裕太名人に4連敗のストレート負け。逆に井山を調子づかせることになって、天元まで奪還された。

 余談だが、14年に井山からタイトルを奪った高尾(天元戦)と村川大介(王座戦)の2人が、15年に棋士人生初の負け越しを喫したというのは、なんという偶然だろう。

 1月11日、再起をかける高尾が今年の初対局に臨んだ。

 盤側で昨年の高尾の不運を思い浮かべていたら、見覚えのある布石が並んでいった。

 黒21まで、4の白石がAにあれば昨秋の第40期名人戦七番勝負第3局(井山―高尾)と同じ形。記者が観戦記を担当していた。黒の中国流からできるこの布石は珍しくはない。けれど続く22手目、井山が白Bに肩をついた一手はあまりに印象的だった。まさか高尾はあの展開を待ち望んでいるのか。どんな対策があるのだろう……。

 記者の抱いたほのかな期待は、河野によってあっさりと裏切られた。白22は常識的な一手だ。

(伊藤衆生)

 消費 黒:8分 白:2分 (持時間各5時間)

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