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 常識を変えたい。平田は常々こう思っている。あたためているオリジナルの着手、構想はいくつかあるのだろうが、そのうちの一つがこの碁に現れた。

 1月21日、村川のホーム、大阪市の関西棋院での対局。関西棋院は昨年末、本拠を移した。入居していたビルの老朽化などのためだ。移転先は旧本拠から土佐堀通りを700メートルほど東に進んだ「北浜一丁目平和ビル」。対局場は5階にあり、本局が打たれた特別対局室「吉祥の間」は一番奥に位置している。

 10畳ほどの立派な和室なのだが、実は少々殺風景に感じた。掛け軸が飾られていないのだ。棋院の担当者に聞くと「壁とのバランスが悪く、現在思案中です」とのこと。引っ越したばかり。落ち着かないのも無理はない。

 黒1、3、5の布陣に白6のカカリは、今やもう珍しくない。以前は白Aの割り打ちばかりだった。このあたりは現代の常識といっていいだろう。黒7のハサミに白8と三々に入るのはよくある進行。黒9から白16はノータイムだった。ここまでの実戦例はまさに星の数ほどあるはずだ。

 しかし、続く黒17は見たことがない。左上にカカるなら黒Bが常識だ。右上白はすでに治まり形。黒が上辺でいくら力をためても右上白には響かない。つまり、上辺は発展性に乏しいのだ。平田の意図を想像できるだろうか。

(松浦孝仁)

 消費 黒:10分 白:6分 (持時間各5時間)

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