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 今年の棋聖戦七番勝負は、井山裕太棋聖が挑戦者の山下敬吾九段に4連勝して、ストレート防衛(4連覇)を果たした。本局は2月8日、棋聖戦第3局の翌週に打たれた。

 山下の棋聖挑戦は3期連続。例年、このシーズンの山下は、2日制七番勝負で各地を転戦しながら、東京に戻っては名人戦リーグや本因坊戦リーグなどの重要対局をこなす。ここまで3年連続の棋聖戦開幕3連敗。いかにタフな山下とはいえ、精神的にも肉体的にもきつい状況にあったはずだ。

 この碁は山下の打つ「押し」の着手に注目してほしい。ぐいぐいと押す一手一手に、疲れなどみじんも感じさせない力強さがみなぎっていた。

 先番は平田智也七段。左下黒5のカカリに白は手を抜いて右上6とカカり、黒は左下7にツケる。右下白8のカカリまでは、両者とも、さほど時間をかけることはなかった。

 平田は首をぐるんぐるんと回して体をほぐす。8分の考慮で黒9とハサんだ。このあたりから、具体的な読みを入れて着手を選ぶ段階に突入している。

 さきに仕掛けたのは山下といえようか。白10とトビ、12とカケて16とツケたのは一連の動き。そして白18と押し、さらに20と押す。

 この2回の押しの狙いは誰の目にも明らか。右辺の黒を凝り形にする作戦だ。

(伊藤衆生)

 消費 黒:27分 白:31分 (持時間各5時間)

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