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 張が帰ってくる。

 昨年5月、彼は生活の拠点を日本から故郷の台湾へ移した。近年の成績不振に悩んだ末の決断だった。「気持ちを切り替えるため」とのコメントも伝え聞いていたが、前例のない出来事に、あれこれと心配をしたファンも多いことだろう。しかしご安心を。この夏をめどに日本での生活に戻るそうだ。碁の調子も体調もかなり上向いてきたとのこと。気の早い記者はどうしても井山裕太六冠との激突を期待してしまう。

 2勝同士の一戦。早碁対局かと思えるくらい、立ち上がりはハイペースだった。白4の目外しは張の愛用品といっていい。だから黄もある程度予想していたのだろう。たいして警戒する様子もなく黒5とカカっていく。

 白6のハサミから10まではよくある進行。続く黒11のコスミツケに注目しよう。隅に根拠を求めた極めて手堅い一着に映るが、黄は攻める気満々だったようだ。

 「11は、黒Aとハサみ、白Bに黒Cとカカっていくのが一般的です」と解説の大矢浩一九段。実戦は白12、14で隅の黒はまだ不安定。黒15、17の補強が欠かせない。こうなると左辺を割っていく展開にはなりづらい。

 もちろん、マイナスばかりではない。黄はプラスの部分にひかれたのだろう。それが黒19だ。迫力満点。石音もひときわ高かった。

(松浦孝仁)

 消費 黒:13分 白:4分 (持時間各5時間)

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