花散らしの雨が降りしきる4月7日、日本棋院本院では昨日までお伝えした黄翊祖―内田修平戦と同時に、山下敬吾―河野臨戦が行われた。リーグ折り返し点に差しかかった第5ラウンドである。
4連勝とトップを走る高尾紳路はこのラウンドは手空き。1敗で追う山下にしてみれば少しでも差をつめたいところだろう。2敗の河野は、これ以上黒星を加えると、挑戦者争いからの脱落を意味するだけでなく、リーグ残留もあやしくなる。
その河野、ことしはここまで5勝7敗の負け越しで、本因坊戦ではリーグ落ちも味わった。しかしリーグ開幕に「自分なりに考え、できる限りのいい打ち方を見つけていく」と語ったように序盤の工夫は健在。小ナダレ定石に大胆な変革を加えたり、大斜定石で新趣向を披露したりと、独創性に磨きをかけている。工夫が白星に結びつかないうらみはあるが、いずれ花を咲かせると信じたい。
まず白6と注文を付けたのは山下だった。6で白13に受ければ、黒はAかBか。河野は黒13の両ガカリを選ばず、黒7、9とツケ引いて、あえて注文に乗った。白12がヒラキとハサミを兼ねる好点なのは百も承知。そのうえで黒13から15、17と技をかけようというのだ。なお白14の三々は根拠を許さぬ強手。
もう前例のまったくない戦いに突入した。
(春秋子)
消費 黒:46分 白:31分 (持時間各5時間)
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