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 4月14日、関西棋院。まもなく開始というタイミングで羽根が話しかけてきた。「指を骨折してしまって。すみませんが今日は左手で打ちます」。包帯が巻かれていたのは右手の人さし指。たしかに、これでは石を打ち下ろすたびに痛い思いをしそうだ。

 ぎこちなく石を置く姿を見ていたら、記者は、初めて碁石を握った遠い昔の自分自身を思い出した。

 いつもと違う感覚。羽根は新鮮な気持ちで盤に向かえたのではないか。というのは、この日の着手が、いつになく積極的だったからだ。「始まったばかりの本譜の進行の中にも羽根さんの強気な姿勢が見て取れます」と解説の横田茂昭九段。

 白6のカカリに黒7の一間高バサミは強気というわけではなく、白の両ガカリを打ちづらくしている。続いて白16には黒Aのツケがピッタリだ。

 強い態度に出たのは左上。黒17、19のあと21と四線に構えた一手がそれだ。しかし白22が好点。腰の高い黒の弱点をつく一着になっている。黒19、白20を交換してあるため隅に振りかわることもできない。いつもの羽根なら19とスベらず、黒Bと穏やかに構えていたのではないか。

 横田「羽根さんが気付いていないわけがない。急所へ打ってこいと挑発したのです」

 羽根はどんな構想を描いているのだろう。

(松浦孝仁)

 消費 黒:28分 白:11分 (持時間各5時間)

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