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 雲一つない都心の青空の下にツバメが飛び交う5月12日、前局の河野臨―張栩戦と同時に山下敬吾―黄翊祖戦が行われた。

 高尾紳路に続いて、この日、張に土がつき、全勝者が消えたのは読者もご存じだ。とすると1敗の山下はもちろん、2敗の黄も挑戦者候補からはずすわけにはいかない。この一局の重みを表すかのように、両者目を閉じて開始を待ち、ブザーと同時に黄の手が右上小目に伸びた。

 黒5とカカったところで局面をストップしよう。白Aと受けるのが多数派だが、山下の実戦にはAがほとんどなく、白6が多いという。力戦家らしいカカリといっていい。

 ここまでは想定内だったのか、黄の黒7はわずか1分。今期の山下―河野戦(第18局)で河野はあえて黒B、白C、黒Dとツケ引き、白E、黒9から、ヒラキとハサミを兼ねる白Fの好点を許した。解説は三村智保九段。

 「黒7が普通でしょうね。白8から10も常識的です。黒11で14とトベば全面戦争に発展します。しかし黄くんにその気はなかったようです」

 白12で間に合わせ、14とボウシしたときの黒15は急所。白16以下は当然に見えて、山下はかすかな不満を感じたという。どう打つべきだったのかは最終譜で説明しよう。

 白22とシンを止め、力戦家ならではの骨の太い攻めだ。

(春秋子)

 消費 黒:21分 白:24分 (持時間各5時間)

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