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 コイツは強い! 対局中にこんな意識がわいてくるのは珍しいことではない。定石や手筋の知識、競り合いの際の力強さ、死活力などが自分より上とわかれば「勝てそうにないな」と、ちょっぴり弱気になったりする。では、これらの能力にほとんど差のないプロはどんな時に「強さ」を感じ取るのだろう。

 解説の大矢浩一九段は本局に河野と黄の強さを再認識した手がひとつずつあるという。どちらも第一印象はいいものではなく「ごみみたいなところ」への着手に思えたそうだ。自分にはない感覚の価値に気づいたとき、その発想の持ち主に脅威を抱くのだろうか。

 慎重な立ち上がりだ。左上のツケヒキ定石の最終手黒13の構えは見た目どおりガードに特化している。常識的な黒Aはバランス的には申し分ないが、白Bの打ち込みには絶えず注意が必要だ。

 白14も手堅い。さらに右上でも簡明なツケ引き定石が現れた。それでいて超の字が付くほどのスローペース。正直いって退屈だった。もっとも両者は挑戦権に向けて、もう一つも星を落としたくない状況。午前中は白26まで。黒27は昼食休憩後の一着だ。

 大矢「黒27は打ち込みではなく、消しと言ったほうが正しいでしょう。黒C、白D、黒Eは白Fの囲いがピッタリ。このまま上辺が白地では効率がよすぎます」

(松浦孝仁)

 消費 黒:56分 白:58分 (持時間各5時間)

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