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 いきなり盤上に注目していただこう。白12までは何の変哲もない序盤だ。続いて黒Aとヒラいて基本定石が完成する。しかし内田修平の手が止まった。

 記者なりに少考6分の理由を考えてみた。ひょっとすると黒Bの狭いヒラキを選択するつもりか。Bは前局で河野臨が披露したように、最近散見される趣向だが、20年も前に藤沢秀行名誉棋聖が「AとB、どちらがいいか分からん」と研究会で語ったのを思い出す。

 いやBではなく、黒13のノゾキ一本で間に合わせる最新の趣向だった。ひと昔前なら、こんな早い時期にノゾくなんてと、俗手扱いされたはずだ。ところが人工知能のアルファ碁が韓国のイ・セドルに用いて話題になり、流行のきざしを見せている。この日、となりの対局室では、左上隅とまったくの同形ができた。

 羽根直樹は3連敗後の2連勝、内田は6連敗で迎えた今月9日の日本棋院中部総本部。すでにリーグ落ちの決まっている内田にとって、気楽な対局であるはずがなく、早く連敗から脱出したい。一方の羽根は微妙な星だ。1敗から3敗が7人と多く、成績が偏っていて、打ち分けでも安泰とはいえない。つまり絶対負けられないのである。挑戦者争いとはまた違った、重苦しい一戦だった。

 内田は先手を取って足早に黒15の中国流へ。

(春秋子)

 消費 黒:13分 白:6分 (持時間各5時間)

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