7月21日の対局。挑戦権争いはいよいよ佳境だ。本局が打たれる前の時点で1敗者は高尾のみ。これを5勝2敗の張栩、村川大介が追う。前期挑戦者の高尾のリーグ内序列は1位。勝てば一歩抜け出し、8月の最終戦を落としても挑戦者決定プレーオフ出場の権利を確保できる。
7連敗の内田は本局が最終戦だ。初めてリーグに入った第37期でも出だしから6連敗を喫した。ただし、その時は残り2戦で白星を並べ、意地を見せた。2期目の参加となる今回はどうか。
左上黒11、白12を換わったままにしておくのは最近の傾向。白14にカカられたタイミングで黒15と定石を完成させたのにはもちろん意味がある。
「白14は、黒A、白B、黒18、白C、黒25が注文。白Dから左上黒を大きく攻める意図です。続いて黒Eなら白Fで上辺が白模様に。内田さんはこの流れを嫌いました」と解説の瀬戸大樹八段。
白16、18を決めて、高尾は20へ。見慣れた形は白GかHの三線へのヒラキだ。ちょっとしたアクセントと記者は思っていたのだが、実はこの碁の勝敗に大きく影響する。
黒21、23に本局を苦しくした原因が潜んでいる。21は黒26が急務だった。白24、26と迫られると、隅の黒はかなり窮屈。そう、白20の四線の構えが絶好になっている。
(松浦孝仁)
消費 黒:33分 白:30分 (持時間各5時間)
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