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 第1局、いかがでしたか。生きるか死ぬかという碁の根源的な面白さを存分に味わっていただけたと察する。

 愛知県田原市での第2局も、第1局にまさるとも劣らない熱戦だった。生死をめぐるせめぎ合い、スリル満点の攻め合い、そしてコウによる決着と、どれをとっても今年を代表する激しさといっていいのではないか。

 東海道新幹線を豊橋駅で降り、渥美半島を西へ車で1時間ほど行くと、田原市の住宅地の一角にある対局場の「角上楼」に着く。一行を迎えてくれたのは、地元の青年や小中学生による勇壮な渥美太鼓の演奏と、前夜祭での伊勢エビやフグなどの特産だった。挑戦手合がやってくるのは初めてとあって、大変なおもてなしだ。

 9月14日、三河湾をのぞむ対局室で1日目が始まった。盤上がおだやかなうちに余談を。対局場から車で15分ほど行くと、島崎藤村作詞の名曲『椰子の実』でおなじみの伊良湖(いらご)岬に着く。

 江戸時代は三河白とか伊良湖白と呼ばれる高級ハマグリ碁石の産地だった。〈伊羅子白さのみ白くもなきものを〉と江戸後期の俳人、吉川五明が詠んだように、上品な淡いあめ色が特徴で、いまでも愛用する人が多い。今回使用する白石が伊良湖白でないのはちょっと残念。

 名人の那智黒はやや珍しい二連星だった。

(春秋子)

 消費 黒:8分 白:4分 (持時間各8時間)

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