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 あっという間に右上で定石ができた。ただし白26に続いて、黒Aにカケツいで大型定石は完成とされる。最近では黒Bにカケツぐ例も多い。

 名人はわずか1分の考慮で手を抜いて黒27のトビだった。真意はどこにあるのか。立会人の小県真樹九段が教えてくれた。

 「黒Aではのちに白Cあたりに打ち込まれて手を焼く。といって黒Bでは白Dの打ち込みがうるさく、上辺がガラガラにされかねない。手を抜くのも最近の傾向ですよ」

 じつは黒27まで、まったく同じ前例があった。1カ月前に大阪で開かれた阪急納涼囲碁まつりの席上対局。名人は趙治勲名誉名人にそっくりのことをやったのである。趙名誉名人は、手抜きをされたら切るのは気合とばかりに白1。以下黒2から4とマゲて一気に中央を決め、黒14までができあがった。名人、さてはこの再現を狙ったか。

 挑戦者はあわてず騒がず白28。解説をつとめた伊田篤史八段は、「力をためましたね。黒Eとカケて圧迫されるのを嫌ったのでしょう」という。

(春秋子)

 消費 黒:13分 白:38分 (持時間各8時間)

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