[PR]

 「黒89にこられ、白は思っていたより眼形がないので参った」と挑戦者。検討室では伊田解説者が「黒93とノビられ、白は相当しびれている」という。

 挑戦者の扇子を使うシーンが多くなった。にぎり締めたり、開いてさっと風を起こしたり。挑戦者が10年以上師事している書家の柳田泰山さんがしたためた「蓋天蓋地」の文字が見え隠れする。ガイテンガイチと読むのだろうか。しかしいま、天をおおう勢いは黒のものだ。

 白94としのぎを図らなければならず、下辺に悪影響を及ぼすのは避けられない。その94で白Aとアテ、黒B、白Cと抜いても黒Dとワタられ、眼形の足しにならないどころか、左上隅がうすら寒い。

 伊田「黒95では、上品に97と単にケイマするのも有力。しかし白の一団への響きが弱いので、白Eあたりに入られるのを名人は心配したのでしょう」

 黒95、97なら白98が省けず、先手は黒に回る。問題は黒99だ。手堅く黒EとかFで十分との声が東京方面にいる検討陣からあったと聞いた。それで勝てるなら名人も手堅さを選んだのではないか。しかし黒EやFでは左辺への響きが弱く、白Gくらいに軽く消されて、はっきりしないと判断したのだと思う。

 いっぱいに頑張った黒に、挑戦者は合計18分の考慮で白100、102と踏み込む。いよいよ決戦だ。

(春秋子)

 消費 黒:5時間16分 白:4時間25分 (持時間各8時間)

[ 次の譜へ ]