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 挑戦者2連勝。この展開で第3局を迎えると予想していた人は少ないのではないか。名人が、棋聖、本因坊を含めた七番勝負で2連敗スタートしたのは初めてのことだ。第1、2局ともに、勝負どころで勝ち筋があった。それを逃しての敗戦は名人らしくない。この第3局は名人位の行方に重要な意味を持つことになろう。名人はどんな戦いを見せるか。

 9月20日朝は、台風16号の影響で大雨だった。対局場は静岡県沼津市の景勝地・千本松原に隣接する「沼津倶楽部」。日本庭園の中に立つ数寄屋造りの和館で、国の登録有形文化財に指定されている。

 雨音だけが響く中、立会人の石田秀芳二十四世本因坊が「時間になりました」と開始を告げた。

 挑戦者は黒1を右上星に打ち付けたまま、4秒ほど制止する。カメラマンへの気遣いだろう。名人が白2を打つと取材陣が退室。再び対局室は雨音だけになった。

 「白2、4は名人愛用の布石です」と解説の金秀俊八段。白6があるため、黒13でAにコスミツけるのは白Bが好点になる。この局面で黒Aは選択肢にないという。

 金「左辺白の勢力圏がどうなるかが、当面のポイントなのです」

 黒17のヒラキは当然。黒5の一子が攻められると左辺が白地にまとまりやすくなる。穏やかな立ち上がりとなった。

(内藤由起子)

 消費 黒:11分 白:18分 (持時間各8時間)

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