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 「3局に1局は、手がつけられないくらいの強さを発揮する」

 本局の解説者、村川大介八段の井山名人評だ。そして残りの2局もなかなか負けない。悪い碁でも最後には勝ってしまうとのイメージだという。こんな説を聞くと、史上初の七冠独占もあたり前に思えてくる。

 しかし、今期の名人戦はまったく違う様相となった。異常事態といっていいレベルだろう。まさに敵なしと思われていた名人が、まさか第4局をカド番で迎えるとは。名人が七番勝負で出だしから3連敗を喫したのは初めてのことだ。10月4日午前9時、兵庫県宝塚市の宝塚ホテルで名人交代の可能性のある大一番が始まった。

 絶対に負けられない状況で名人が選んだのは、ここ数年、世界で流行している布石戦術だった。黒1から7は皆さんも打たれた経験があるだろう。下辺は変則ミニ中国流などと呼ばれる布陣。7の黒石がAにあるのが純粋なミニ中国流だ。

 白8の割り打ちに黒9、11のリズムは意欲的に映るが、名人の意図しているところは対極にあった。

 村川「第1、2、3局ではスケール大きく展開し、攻めを主体に組み立てた名人が、カド番のここで変えてきました。黒11は下辺の模様化を目指しているのではなく、どちらかと言えば堅実な路線を進もうとしています」

(松浦孝仁)

 消費 黒:6分 白:6分 (持時間各8時間)

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