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 挑戦者が3連勝したとき、第6局が打たれると予想した人は多くなかったかも知れない。そう思わざるをえないほど名人は不調で、らしくない負け方が続いた。

 しかし立ち直った。第4、5局を連勝。その後の王座、天元戦の挑戦手合初戦でも新進気鋭の余正麒七段、一力遼七段を相次いで下した。タイトル戦が重なり、スケジュールが厳しくなるにつれて調子を上げているように見える。

 名人の着手に変化が見られる、と解説の蘇耀国九段は言う。「第3局までは大きな刀を振り回すような戦い方でしたが、第4局からは地にからいスタイルになりました」

 勢いに乗る名人だが、カド番に追い込まれた苦しい立場であることに変わりはない。

 負けられない先番で名人が選んだ布石は、打ち慣れた星と小目からの小ゲイマジマリの組み合わせ。白6のカカリに黒7と受け、左上9とカカってから11まで、実戦例が多い。

 挑戦者は白12、14とツケ引いた。「以前は12で白Aとコスみ、黒B、白C、黒Dと黒に外勢を与える変化がよく打たれていましたが、黒やや有利と見られ白が避けるようになりました」と蘇解説者。続いて黒Eとカケツぐのが定石になっているが、名人は黒15と左下にカカった。

 手抜きは極めて珍しい。名人の新しい試みだ。

(内藤由起子)

 消費 黒:13分 白:4分 (持時間各8時間)

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