写真井山裕太名人(西田裕樹撮影)

写真高尾紳路九段(西田裕樹撮影)

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表名人戦七番勝負の歴史(クリックすると拡大します)

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 第41期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)が30日、開幕する。前人未到の七冠独占を達成した王者・井山裕太名人に、絶好調の高尾紳路九段が挑戦する。両雄は昨年も対決し、井山名人が4連勝で圧倒した。井山名人が防衛して4連覇・通算6期目の名人位を獲得するか、雪辱に燃える高尾九段が10期ぶりに返り咲くか。決戦が再び始まる。

■目の前の対局に全力 名人・井山裕太(27)

 高尾さんは今年に入って非常に充実されている。厳しい七番勝負になると覚悟しています。

 4月、ここ数年の目標だった「七冠」を達成できました。大きな目標をかなえると燃え尽きた状態になるという話も聞きますが、たとえばオリンピックとは違って次の対局が短い間隔でくる。目の前の対局に全力を尽くすだけです。

 納得のいく碁ばかりが続いているわけではないけれど、その中で、七冠達成後に本因坊と碁聖を防衛できた。高尾さんと戦った本因坊戦は、第1局こそ高尾さんにうまく打たれましたが、いいシリーズにできた手ごたえがあった。

 名人戦は自分のタイトル戦の原点であり、名人戦を戦うなかで成長してこられた。ですからなるべく長く守りたい。もちろん七冠すべてをできる限りという気持ちですが、先を見すぎず悔いのないよう戦いたい。

 高尾さんとのタイトル戦が続いていますので、その都度、新鮮な勝負を見せたい。自分は2日制ならではの手というのがあると思っていますし、最近は2日制のほうがいい戦いができている感覚がある。8時間の持ち時間をいただいているので、それなりのものを残したい。

 2日制を戦っていて思うのは、囲碁は考えれば考えるほどいろんな手があるなということ。そういうところをこの名人戦で表現したい。

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 いやま・ゆうた 大阪府東大阪市出身。石井邦生九段門下。2002年入段、09年九段。05年、16歳4カ月の史上最年少で一般棋戦優勝。09年、七大タイトル戦史上最年少の20歳4カ月で名人となる。13年3月、史上初の六冠となり、通算七冠制覇(グランドスラム)達成。同年6月、世界戦初優勝。同年10月、「大三冠」(名人、棋聖、本因坊独占)に。今年4月、前人未到の七冠独占(名人、棋聖、本因坊、王座、天元、碁聖、十段)を達成した。七冠達成後、6月に本因坊、7月に碁聖をそれぞれ5連覇した。日本棋院関西総本部所属。

■去年の悔しさ、今でも 挑戦者・高尾紳路(39)

 いまも去年の悔しさを覚えています。七番勝負で一つも勝てないというのは惨めでつらい。味わった者にしか分かりません。こんなに早く挽回(ばんかい)の機会がくるとは思わなかった。

 たくさんのタイトルを持って、上で待っている井山さんとは対戦するだけでも難しい。2年ほど前からそういう存在でしたが、もはや1勝することすら難しい状態。日本で一番強くとも、ほかの棋士とそこまで差がないと思いたい。長い間、勝ち続けることもないだろうと思いたい。

 去年は初めて年間成績で負け越しを喫し、このまま下降線をたどるのではという不安があった。復活ではないですけれど、成績が上向いたのは自信になった。実力以上に頑張っているんじゃないでしょうか。

 挑戦権争いの前半の4連勝の内容がよく、挑戦者になって当然くらいの気持ちのこともあった。不調だった去年は名人戦しかチャンスがなくて、挑戦者になることを目標に、それだけで必死だった。今回は、ここからが本番という気持ちです。

 井山さんには気持ちで負けていた部分があり、それが敗因の一つになっていると思う。自信を持って、勝つつもりで臨みたい。盤の前に座ったからには、相手よりも強いんだという気持ちで対局したい。

 30代の集大成としていい碁を打てれば。第6局の1日目が40歳の誕生日。その日を対局で迎えたいです。

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 たかお・しんじ 千葉市出身。アマの故田岡敬一氏に師事、故藤沢秀行名誉棋聖門下。1991年入段、2005年九段。96年の新人王戦優勝で初タイトル。05年に本因坊となり、06年、第31期名人戦を制して30歳で初の名人になった。07年に本因坊3連覇。08年、十段を獲得。14年、6期ぶりに十段に復位した。同年12月、天元を獲得し、およそ6年半ぶりに二冠となった。無冠に戻って迎えた今期の名人戦リーグは前半を4連勝で折り返し、1敗の後に3連勝して7勝1敗でリーグ優勝。2年連続となる挑戦権を獲得した。日本棋院東京本院所属。

■対局日程

第1局 8月30、31日 東京都文京区 ホテル椿山荘東京
第2局 9月14、15日 愛知県田原市 角上楼
第3局 9月20、21日 静岡県沼津市 沼津倶楽部
第4局 10月4、5日 兵庫県宝塚市 宝塚ホテル
第5局 10月12、13日 静岡県熱海市 あたみ石亭
第6局 10月26、27日 静岡県河津町 今井荘
第7局 11月2、3日 甲府市 常磐ホテル

◆対局は持ち時間各8時間の2日制。一方が4勝した時点でシリーズは決着し、第41期の名人が決まる。以降の対局は行わない。