写真趙治勲・名誉名人

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 井山名人は常に最高を求める。120%が最高だと思えばさらに140%を求める。高尾九段は相手の言い分も通しながら90%くらいでという正統派。少し引いておいて相手が無理をしてきたらそこを突く。2人は芸風が違う。本来なら高尾さんのような碁は、井山さんに勝つ確率が結構ある。井山さんにとってやりにくいタイプだ。

 井山さんが破ってきたといえばまず張栩九段。どちらかといえば井山さんと近い芸風で、がっぷり四つで戦ってきた。そのあとは戦車のようにばんばんくる山下敬吾九段に苦しんだところがあった。そして、やりにくかった高尾さんを破った。なにせ若いし、日々進歩している。張さん、山下さん、高尾さんの碁を消化していく。進化の度合いがすごい。数年前に高尾さんに負けていた時期があったけれど、さらに進化した。

 七冠となった井山さんは日本で天下無敵。世界戦になかなか出られないという状況のなか、気持ちを維持できるかが問題だ。夏の本因坊戦と碁聖戦の圧倒的な防衛戦を見る限り、まだテンションは高い。

 リーグ戦を勝ち抜いて挑戦者になるというのはたいへんなこと。ただ、突き抜けた井山さんに対して、高尾さんは、ただじっと待っているだけではだめ。ためた力をどこかで爆発させないと。それも、小さな爆発ではなく、マグマのようなものを爆発させれば、十分に勝機がある。その爆発の瞬間がほしい。

 井山さんとしては、ここで高尾さんを倒せばさらに1歩も2歩も芸を進化させることにつながる。さらに突き抜けてほしい。