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 12月15日、対局室の張栩を見て、あれっと思った。いつもの黒っぽいスーツではなく、ラフなセーター姿。そのためか、体形が変わった印象だった。義理の父の小林光一名誉名人が教えてくれた。

 「元日に張くん一家がわが家にきたのですが、体形の変化にはびっくりしました。すごく筋肉質になった。ボルダリングをやっているとのことです」

 ボルダリングとはフリークライミングの一つで、手足の力だけで壁をよじ登るスポーツとか。筋肉質やスポーツとは無縁と、失礼ながら思っていた。体力強化こそが、タイトル戦とくに二日制の大舞台への復帰の第一歩と心得ているのだろう。

 張は盤上でもいきなりびっくりさせてくれた。左下黒7とハサまれたときの白8だ。「見たことない」「新手だ」と、記者室は朝から騒々しい。

 「ちょっと研究してたんだ」と張が感想で語ったように、白8の考慮時間は1分。対して河野臨は5分を費やして黒9のツケ。あとは白18まで一気に進んだ。見慣れたできあがりだが、手順を変えてみよう。黒3、9の小ゲイマジマリと、外から圧迫する白8、12があったとして、白10とツケコした形に戻る。解説を担当した小林名誉名人は「手割りを考えても黒が悪いわけではない。しかし白は長期戦をめざしているのです」との判定である。

(春秋子)

 消費 黒:17分 白:11分 (持時間各5時間)

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