[PR]

 いま、関西棋院で最もタイトルに近いところにいるのが村川大介と余正麒ではないか。

 村川は3年前、井山裕太の持つ王座のタイトルに挑戦し、みごと奪取した。翌年井山に奪い返されたものの、トップを追う第一人者との評価が定着しつつある。5期目の名人戦リーグは当然有力候補だ。仲間内からアマルくんと呼ばれて人気者の余正麒も、昨年は王座戦で井山に挑んで1勝もできず、涙をのんだ。ただしまったく歯が立たなかったわけではなく、次こそはの手ごたえをつかんだと思う。その「次」はもうすぐ始まる十段戦五番勝負だ。

 こんな二人の碁だから面白くならないはずはない。何やら腹に一物ありそうな村川の白8のカカリに、余は黒9の両ガカリ。ここだけでも定石の変遷がうかがえて興味深い。

 まず黒13とツケたときの白14。かつては白15とワリ込み、黒A、白B、黒C、白14、黒Dまでが基本定石とされたが、白が甘いとしてプロの碁ではほとんど見かけなくなった。代わって有力視されたのが白14、黒15に続いての白E。黒Bの出には白Fとゆるめる要領だから、一理も二理もある。実戦の白16は、黒Gとコスまれて白の受け方が難しいというのが常識だった。

 ところが余は黒17。白18とカケると、検討室は「あれっ、どこかで見た碁だな」と色めいた

(春秋子)

 消費 黒:22分 白:13分 (持時間各5時間)

[ 次の譜へ ]