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 春が近いはずなのに真冬なみの寒さに見舞われた2月2日。日本棋院東京本院の記者室では、対局前の王立誠、小林覚、依田紀基ら、かつてのタイトル保持者が集まって熱い議論の最中だった。

 話題は碁界を騒がせている囲碁AI(人工知能)である。「とにかく強い」と一致した一方で、「まねをするのはちょっと抵抗があるね」「そうはいっても理にかなっている」と、さまざまな意見が飛び出した。

 この議論には加わらなかったものの、人工知能の最新版「マスター」に誰よりも共鳴し、刺激を受けたのが河野臨といっていいかもしれない。マスターの出現は「棋士人生最大の衝撃」と語ってくれたのだから。

 盤上を見ると、右下白14、16と出たのがマスター流である。白14で20とハネ、黒16、白A、黒B、白Cが長い間基本定石とされてきた。白14、16もまったくなかったわけではなく、ごくまれに打たれていた。しかし実利に偏りすぎるとされ、廃定石扱いだった。それをマスターがしばしば試み、打てると証明したのである。

 いまや白14、16が主流になりつつある。時代も変わったものだ。なお、黒の側からいえば17、19を決めずに黒21と切り、白22、黒23、白19、黒Dとして、隅の味、たとえば黒Eの置きを楽しみにする選択も考えられた。

(春秋子)

 消費 黒:4分 白:21分 (持時間各5時間)

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