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 「殺し屋」と聞いて皆さんは誰を連想するだろう。まず間違いなく、昭和から平成にかけての大棋士、加藤正夫名誉王座を思い浮かべるはずだ。氏が2004年の暮れにこの世を去ってから空席になっているニックネーム。もしかしたら余が受け継ぐかもしれない。解説担当の小林覚九段の見立てがおもしろい。

 「メキメキと頭角を現してきた数年前あたりは、はっきり殺し屋でしたね。最近は周囲が警戒しているため、表向きは鳴りを潜めていますが(笑)」

 本局の注目は余のパワーと、それをいなそうとする張の技だ。

 張の碁は序盤が特に楽しい。よくネタが尽きないなと不思議になるほど、新鮮な手法を繰り出してくる。愛用品は目ハズシだ。そこからの組み立ては極めて個性的に映る。ただし、本局では封印。リーグ戦はあらかじめ白番黒番が決まっている。勉強熱心な余が目ハズシ対策を用意してきたとにらんだか。

 今日の張はおとなしいと思っていたら、やっぱりやってくれた。白16のノゾキだ。

 小林「初めて見ました。黒13のツメに対しては白Aの一間トビが一般的です。張さんは黒14、白B、黒Cと手厚く運ばれるのを嫌ったのでしょうか」

 ひょっとして、張も「殺し屋」の破壊力を警戒した? ただし、白16の評判はいま一つだった。

(松浦孝仁)

 消費 黒:20分 白:11分 (持時間各5時間)

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