[PR]

 東京の桜開花宣言から1週間もたつのに、冷たい雨に見舞われた先月27日。中盤に入った名人戦リーグの今後を占う河野臨―山下敬吾戦が行われた。

 昨日までお伝えした第15局で井山裕太が無敗を守ったことを読者はご存じのはずだ。とすると、本局は井山への追走者決定戦といっていい。内容的にも重量級同士にふさわしい強打の応酬に終始した熱戦と、最初に書いておこう。

 黒5の一間ジマリを背景に、7のカカリ一本で9と大場を占めるのは、山下がしばしば試みる布陣。対する河野の白10から12と腰を落とした形から、14とトンだのもうなずける。ここまでは時折見かける序盤だ。しかし黒15から未知の領域に突入する。解説は高木祥一九段。

 「15でAと大ゲイマに進出し、白Bとトバせてから黒15と肩を突いた実戦例はあるけれど、いきなりの肩突きはきわめて珍しい。山下さんは白Bを打たせたくなかったのです」

 黒15以上に珍しいのが白18で、新手かもしれない。局後のやりとりが面白かった。「見たことない」と山下がいえば、河野は「初めて打ちました。無理でしたか」と返す。

 白18はなるほどと思う。白Cのハネ込みは黒D、白E、黒Fとノビられ、下辺白二子が弱くなるばかりだ。

 黒19に白20。河野は何がなんでも切るつもりらしい。

(春秋子)

 消費 黒:25分 白:25分 (持時間各5時間)

[ 次の譜へ ]