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 羽根は白星なしの3連敗。リーグ戦開幕前、「久しぶりに挑戦権を狙えそうな状態。打つのがとても楽しみ」と語っていたのに、1勝が遠い。挑戦者争いにからんだ本因坊戦リーグに比べて、極端に低調だ。

 一方の余正麒は、1勝が遠かったと過去形で書くべきだろう。初めての名人戦リーグ、硬さがあったか、たちまち3連敗。しかし4戦目で張栩を力戦の末に倒し、待望の初勝利を挙げた。余にとってそれ以上にうれしいのは、9戦して全敗とどうしても勝てなかった井山裕太に、十段戦挑戦手合で貴重な1勝をもぎ取ったことだろう。十段戦自体は1勝3敗でタイトル奪取こそならなかったものの、大きな自信になったのではないか。

 4月24日、日本棋院中部総本部での対局。早々と上着を脱いだ余の手には見慣れない扇子がにぎられていた。終わったばかりの十段戦を記念して作られ、井山が「雅」、余が「忍」としたためてある。不思議だなと思う。余の持ち味は直線的な攻めで、忍とはかけ離れている。あるいは勝負を急ぎすぎないようにと、自分をいましめたのかもしれない。

 盤上は黒の実利と白の模様がくっきり。これは羽根が誘導したのだろう。白の模様を嫌うなら、黒15とカカらず、16のところに割り打ち、左右の二間ビラキを見合うのも可能だった。

(春秋子)

 消費 黒:25分 白:7分 (持時間各5時間)

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