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 みなさんは互先の対局のとき、コミをどのくらい意識しているだろう。名人戦では第28期からコミ6目半に。それまでの5目半から1目増えただけだが、プロの碁は大きく変わったといわれた。さらに今、人工知能の台頭で中央の価値が見直されつつある影響か、白の着手にこれまで以上に「のんびり感」が出てきたと思う。

 関西棋院勢同士の対戦。村川と坂井は共に2敗を喫し、挑戦権を狙うにはもう一つも落とせない状況だ。1人当たり全8局のリーグ戦は折り返し地点を迎えている。この時期に3敗となると来期の心配が出てくる。名人位への思いとリーグ落ちの恐怖が交錯する、まさにしびれる分岐点に両者は立っている。

 記者の目に「のんびり」と映ったのは、左上の坂井の打ち方だ。白8のコスミツケは黒9、11を招き、利敵行為だと教わった。黒5、9と二つ並んだ格好から黒11と三間にヒラくのは「二立三析」と呼ばれる好形として知られている。

 坂井が知らないわけがない。おそらく、隅を地にしておけば簡単には負けないとの感覚がある。それはやはり、6目半のコミの存在によるものだろう。

 白12の割打ちにもゆったりムードが漂う。村川は黒13から17と構え、勢力主体の碁形に。白と同じペースではコミが重荷になる。

 この傾向はまだまだ続く。

(松浦孝仁)

 消費 黒:35分 白:14分 (持時間各5時間)

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