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 6月1日、朝までの雨がやみ、日本棋院東京本院の一角にあるささやかな植え込みのアジサイが青空に映える。しかし空模様は盤上と同じく変わりやすい。突然の強い雨と雷鳴。黄翊祖―羽根直樹戦の激動を暗示したかのようだった。

 ちょっとだけ余談。碁界は相変わらず囲碁AI(人工知能)の話題で持ち切りである。生兵法は大けがのもととか。AIのまねをして失敗した笑えない話も聞いた。誤解を恐れずにいえば、AIオリジナルの新手はほとんどないと思う。たとえば星に対する極端に早い三々入り。半世紀近く前に5手目で三々に入った実戦があったが、まったく注目されなかった。それをAIは丹念に掘り起こし、新しい打ち方で立派に成立すると証明したのが功績だろう。

 問題はAIとの距離だ。AIの流儀を参考にする若手が目立つ中で、見向きもせず、今まで自分がやってきたことを信じる棋士も多い。羽根がその代表かもしれない。

 羽根の黒番。黄の白8、10は18以下を含みに、外勢を張るAI好みの作戦。もっともこれは江戸時代初期から打たれている。解説は工藤紀夫九段。

 「白の狙いは明らかに大模様なので、黒13ではAにトビ、白Bあるいは13のとき、黒C、白15、黒Dの定石を選ぶのも可能。羽根さんはわが道を行きますね」

(春秋子)

 消費 黒:27分 白:40分 (持時間各5時間)

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