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 3勝2敗同士の顔合わせ。まさにしびれる対局だ。挑戦権争いのトップをゆく前名人の井山裕太六冠はいまだ無敗。本局を入れて残り3局の2人は、ここで負けると挑戦の可能性がかなり薄くなる。

 先番の河野は1分の沈黙の後、小さな石音を立てて黒1、三々へ。昭和にタイムスリップしたような感覚に陥るが、三々人気再燃のきっかけは人工知能のアルファ碁だ。時代の最先端をまい進しているであろうAIが、我々に懐かしい過去を思い出させてくれる。これは喜んでいいのかもしれない。おそらく本人(?)にそんなつもりはないだろうが。

 三々と黒3、5の組み合わせも珍しい。黒7のカカリから9とシマったのは三々の弱点を考えてのものだ。解説は瀬戸大樹八段。

 「黒9はAが一般的に映りますが、それは右上が三々ではなくBの星などの時です」

 黒9をAは白Bのカタツキがピッタリになる。もしくは白Cのカカリから黒D、白Eの調子も目に付く。右辺ですんなりくつろがれては面白くない。

 村川はカカリっぱなしになっている左上黒を白10と挟撃。黒11には白12から手厚く16まで。省けない黒17に白18と構えれば、隅を失っても不満はない。

 ゆったりした流れが突如よどみ始める。白20の割り打ちに黒が21とツメると、村川は右下へ。白22とは怪しげだ。

(松浦孝仁)

 消費 黒:25分 白:28分 (持時間各5時間)

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