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 終盤に入った名人戦リーグは、大本命の井山裕太が無敗で突っ走る挑戦者争いより、残留をめぐる戦いのほうがはるかに予想が難しく面白い。

 4勝4敗の打ち分けでリーグ落ちしたり、2勝6敗で奇跡的に残留したりは例外として、明暗を分けるラインは3勝5敗である。シード組の張栩は3勝で助かる可能性が高く、予選勝ち上がり組でリーグ内の順位が下の坂井秀至は4勝が必要な状況だ。

 両者負けられない一戦なのに進行が早い。とくに張はほとんどノータイム。黒25まで、あらかじめ決めていたのかもしれない。目ハズシから黒7とハサむのも張のオハコ。今期のリーグでたびたび披露して、すっかりおなじみになった。

 問題は白24までの定石をどう評価するかである。張はもちろん黒に不満なし。坂井は隅を取って白が悪くないというニュアンスだった。解説は名人戦リーグ通算4期在籍の溝上知親九段。

 「私も白が悪くないと見ます。左下隅が安定感のある三々なのも全局的に好ましい」

 意見が分かれるから一流プロの碁は楽しいのだろう。

 黒27の肩つきから29のツケは20年近く前、故呉清源九段がその著『21世紀の碁』で提唱した打ち方である。「この場合はなるほどと思います」と解説者は脱帽の様子だった。

(春秋子)

 消費 黒:7分 白:28分 (持時間各5時間)

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