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 今月3日に行われた名人戦リーグ最終ラウンド一斉対局の興味は2点に絞られた。井山裕太が全勝で名人挑戦を飾れるかと、リーグ落ちは誰かである。カギを握るのは余正麒。自身が負けると羽根直樹、坂井秀至に続く3人目の陥落となる。勝てば残留が決まり、3人目の貧乏クジは張栩、河野臨、黄翊祖のいずれかが引く。

 その余、マスク姿で目を赤くして現れた。夏かぜかなと思ったら急性結膜炎という。対局に影響しないか、ちょっと心配だ。

 盤上に目を移すと、白の向かい小目に黒5、7の小ゲイマガカリ。ありきたりの序盤にはなりそうもない。井山対策が難しいのはここにある。定型化した序盤なら、いくらでも研究できるし、手の打ちようがある。しかし井山の碁にくわしい読者は、一局ごとに自在に手を替え、品を替える井山流に気づかれるはずだ。つまり相手は井山の土俵で戦うことになる。井山以上の自在性を身につけない限り、独走はまだまだ続くのではないか。

 余はまん中にハサミというか割り打ちのような白8。解説は井山の師、石井邦生九段。

 「余くんもなかなかやりますね。ここまでは初めて見ました」

 黒9の大斜ガケに白20までは基本定石。次の黒21に、おやっと思う。白8がない状態なら、黒Aの走りが定型。白Bがある場合も黒Aだが。

(春秋子)

 消費 黒:14分 白:24分 (持時間各5時間)

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