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 名人戦の季節がやってきた。しかしことしは景色が大きく違う。イス席での対局なのである。交通事故による大けがや急な腰痛などの例外を除いて、国内の主要タイトル戦でイスが使われるのは初めて。もちろん、対局者の快諾があってのことだ。

 景色が違うといえば対局場もそう。昨年まで6年連続開幕戦が行われた東京都文京区の「椿山荘」は第2局に回り、この6月に開業した大阪市北区のホテル「コンラッド大阪」が舞台になった。前夜祭での決意表明が面白い。挑戦者の井山裕太六冠は「大阪での挑戦手合はほとんど負けていない」と語る。調べたら11勝1敗。負けた記憶がないわけだ。これを受けて高尾紳路名人は「大阪では勝った記憶がない」とやって笑いを誘った。実際は2勝2敗。大阪は井山のホーム。さてはリップサービスだったか。

 明けて8月30日。地上約200メートル、39階の対局室からの眺望がすばらしい。西は大阪湾とその先の六甲山地。淡路島を経て、南は和歌山との県境の和泉山脈。そして奈良との県境の金剛山地。東は大坂城のはるか向こうの生駒山。絶景をバックにした天空の対局だが、碁盤の前の2人は目に入るまい。

 握りの結果、挑戦者の先番と決まった。序盤の型を持たない挑戦者は向かい小目の布陣。おだやかな立ち上がりだ。

(春秋子)

 消費 黒:14分 白:0分 (持時間各8時間)

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