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 白54とコウを取られた状況を伊田解説者は「頭が痛すぎる」と表現した。名人も痛いと自覚したはずだ。おまけに黒55に30分を費やしたとき、うっかりミスに気づいた。

 下辺は参考図の白1とツガれた瞬間、無条件で取られてしまう。コウならまだしも、黒2には白3の置きが詰碁の手筋。黒4以下の抵抗は白9までを示しておこう。

 名人のショックは大きかったと思う。しかし表には出さず、黒55をコウダテにいったんはコウを取り返す。ミスといっても決定的ではない。白58に強く黒59、61と応じたのは白に手を抜いてコウ取りの余裕を与えないための頑張りだ。

 黒59でAにハネるのは弱く、白Bとオサえられ、コウに勝ちにくい。続いて黒60、白59、黒C、白D、黒E、白Fとカサにかかってこられてつらすぎる。

 白62に黒はコウをツギ、しのぎ勝負の腰を固めたようである。白リードの声が多かったが、そんな簡単なものではなかった。

(春秋子)

 消費 黒:3時間24分 白:2時間42分 (持時間各8時間)

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