[PR]

 白92の強手に対して名人はなりふり構っていられない。露骨に黒93のアテを決め、95を急ぐ。白96の逃げ出しに黒97と愚形で助けるのも絶対だ。

 こうして白98、100となったとき、名人は大長考に沈んだ。正座して短距離走者のスタートのように前のめりになったかと思うと、あぐらで腕組みをして天井をにらむ。

 黒101が打たれたのは昼食休憩終了直後。消費時間は62分と記録された。同時に検討室の空気が一変して、それまでの黒苦戦から、白が窮したのではないかという。

 挑戦者も容易に打てない。最も常識的な応手は参考図の白1だろう。黒2に白3で攻め合いは大丈夫。しかし黒4以下を決めて、黒10から12とツケる好手がある。攻め合い一手負けを利用して先手でワタってしまう。渡る世間に鬼はなし。白aの切りが無効になり、黒断然よしなのである。白1で15にツグ変化は次譜で。

 きのうからの雨があがり、薄日が差し込んできた。

(春秋子)

 消費 黒:5時間29分 白:4時間53分 (持時間各8時間)

[ 次の譜へ ]