[PR]

 大長考の末の黒1がきつく、検討陣から白が窮したのではないかとの声があがる。

 参考図の白1とツグのはどうか。黒2に白3とトンで攻め合いを主張するのだ。しかし黒4とツケる好手がある。白5とマガるしか対応がなく、黒6から10で封じ込められる。白11、13でねばっても黒の有利なヨセコウだから、白が窮していることには変わらない。

 譜の黒1がきついとすれば、その前に白から1を逆に決めるチャンスはあったが、これは挑戦者の流儀とはいえない。ぎりぎりの状態まで引きつけて反撃する――肉を斬らせて骨を断つのが井山流なのだから。

 果たせるかな、32分を費やして白2、4の妙想をひねり出す。とたんに検討室は「おー」とどよめいた。そう、これが本局の、いや今シリーズをとおしてのハイライトといっていい。黒5にも白6とアテ、黒7を誘って白8に石を持ってこさせる。外側がボロついても、白10とカナメを制するのが勝利への近道と判断したのだ。

 外野席の興奮がさめやらぬうちに、大変化が出現した。黒11はいまや絶対。省くと白Aに切られ、収拾がつかなくなってしまう。

(春秋子)

 消費 黒:5時間43分 白:5時間35分 (持時間各8時間)

[ 次の譜へ ]