写真張栩九段

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 井山さんはとにかく強い。去年の名人戦で高尾さんに敗れ七冠独占が崩れたが、残る六冠を維持して七冠再挑戦の舞台に上がってきた。井山さんだと普通のことのように思えるが、本来は考えられないぐらいすごいことだ。

 8戦全勝した名人戦リーグも充実していた。僕も久しぶりに対局したが、読みの精度などで明らかに後れをとり、ますます勝ちにくくなっていると感じた。あらゆる局面で安定し、隙がない。日本の歴史上、最強の棋士だと思う。

 普通に考えれば、井山さんを止める人はちょっと思いつかない。だが、高尾さんならなにか起きるかもしれないという気にさせられる。実際、去年井山さんに四つ勝った実力は並でない。ご本人も井山さんのほうが上と認めている節があり、逆にそれが強みになっている。去年の七番勝負を見ても、負けてもともとと、ぎりぎりの勝負を仕掛ける鋭さ、嗅覚が非常に優れていた。

 対戦成績は高尾さんの18勝37敗で、最初はほとんど勝てなかったが、途中からはそれほど引き離されていない。今、最も井山さんと互角に戦える棋士じゃないか。何より素晴らしいのは、井山さんを相手に自分の力をしっかり出せること。普通はかなわないと思ったらどこかで心が折れてしまうが、精神的に非常に強い。

 両者とも非常に気合が入っているだろう。この1年、超絶の進化を遂げたAIの影響が盤上にどう表れるかも楽しみ。しっかり自分の力を出して、最高の勝負を見せてほしい。