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 対局当日、検討室の棋士はみんな同じ感想を口にした。「黒の形がいい」と。黒37とカケツイだ格好は無駄がなく、右辺の白にも響いている。

 少しずつ、流れは黒に傾いているようだ。そんな中で打たれた黒39は本格的な棋風で知られる高尾らしさ全開だ。ところが、これが解説者を悩ませた。

 瀬戸「不思議です。どうして参考図の黒1と出なかったのか。白2と換わればそこで黒3と隅のガードを固めます。白4には黒5で、右辺白に根拠はありません。こうなれば黒1と白2の交換は完全に黒の打ち得です」

 白2ではa、黒b、白c、黒d、白e、黒ツギ、白f、黒g、白2の変化もあるが、黒hに切りが入っては黒に悪い理屈はない。

 白40、42で瞬く間に形が整った。対して黒44なら白AとノビてBの二子取りを見る。実戦の黒43には白44、46が実に手厚い構えだ。

 よどみ始めた流れに焦ったか。黒47が後悔の一着。隅には黒C以下符号順に黒Gまでの手段があったが、これを実質、失った。黒47に石があると黒Cは愚形にあたる。「47は黒Hでした」と局後の高尾。

 黄、鋭く踏み込む。白48は理にかなったツケだ。

(松浦孝仁)

 消費 黒:1時間19分 白:2時間34分 (持時間各5時間)

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