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 寒波襲来が告げられた1月11日は、多くの棋士にとって新年の初対局、つまり打ち初めだった。「ことしこそは」あるいは「ことしも」と決意を新たにして盤に向かうはずだ。名人位を失ってリーグに戻った高尾紳路も、前期リーグ落ちから即復帰の羽根直樹も、「ことしこそは」のグループと察する。

 しかしちょっとした事故があった。日本棋院東京本院5階の個室対局室と記者室の暖房が故障したという。対局者には前日連絡があり、それぞれ防寒対策ができたうえ、個人用のホットカーペットとひざかけが支給され、対局には何の問題もなし。寒さに弱い記者があわてて使い捨てカイロを買いに走ったくらいだった。

 盤上に目をやると、右下のツケ引き定石の途中で手を抜き、黒11と転じたのが珍しい。解説は工藤紀夫九段。

 「11で黒Aにハサみ、白14から18と進んだとき、黒22とノビて戦うのは半世紀前の流行型でした。実戦は戦いにくいので黒19、21とハネツギたくなります。白22ではBのカケツギやCのトビも有力ですが、高尾さんは白24までと抜いて悪くないとみたのでしょう」

 白26のツケが現代流である。黒29に羽根は29分費やした。あるいは黒Dの押しとの比較を考えたか。

 白30、34ともに高尾は1分の少考。互いにわが道を行く堂々たる序盤だ。

(春秋子)

 消費 黒:56分 白:56分 (持時間各5時間)

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