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 「山下さんだけは黒7、9をやってほしくなかった」。日本棋院記者室のモニター画面を見ながら、あるベテラン九段がつぶやく。黒7、9はAI(人工知能)流である。個性派最右翼の山下敬吾までもがAI流を採用する。ベテランの嘆きも分からないではない。

 盤上の大変革は過去たびたびあった。17世紀後半の本因坊道策の登場、昭和初めの新布石ブーム、昭和20年代から30年代にかけてのコミの本格導入。それらに劣らないのがAIの出現だ。もちろん対応はさまざまである。AI流をすんなり受け入れる若手が多い中で、羽根直樹のように距離を置く棋士も少なくない。この点を問うと、「AIについては勉強不足なもので」と羽根。勉強不足はともかく、いままでつちかったものに絶対の自信があるのだろう。

 「黒7、9は次の11、13とワンセットです。白10の位置が問題になります」と解説の王銘琬九段。白10でAは黒11、13を決められ、上辺の低位がつらい。といって白Bと三間に高く構えると、黒11、13のあと黒Cのカケも利かされて不愉快になる。したがって白10の二間高ビラキが最近の傾向である。

 解説者「黒15では16に押すのも考えられます。しかし山下さんは逆に白16と押されてもこわくないと主張している。以下、両者気合の進行です」

(春秋子)

 消費 黒:40分 白:48分 (持時間各5時間)

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