[PR]

 張栩は早打ちだ。よく研究し、決めていることが多いのだろう。とくに序盤はスピーディーだ。

 村川大介が黒5とカカると、間髪いれず白6とカカり返す。村川が7分考え黒7と両ガカリすると、すぐ白8とケイマするという調子だ。

 白10のツケに手を抜き、黒11と構えたのは珍しい。村川は研究会で打たれたことがあるという。

 白20まで落ち着いた立ち上がりとなった。解説の清成哲也九段は、盤上に並べてしばし後に「あ、黒は村川くんだったのか」と一驚した。「黒の走った打ち方は張さんだと勘違いしてました。張さんの碁を勉強して影響されたのかな」

 左上の折衝は白40までで一段落。ここでみなさんはどこに目が行くだろうか。次の一手の問題になりそうな場面だ。「ふつうは黒Aの肩つきが正解になるのですが」と清成解説者。左下の白模様が気になるのだが、村川の手はそこに向かわなかった。

 まだ時刻は午前11時半前。3月1日、関西棋院は「吉祥の間」で打たれた本局を含め、4局の手合が組まれていた。他の持ち時間3時間の碁はまだ20手ほどしか進んでいない。こちらは5時間の碁なのに、手数はすでに倍も進んでいる。私が20年以上観戦した中でも、本局は指折りのスピード進行だ。

(内藤由起子)

 消費 黒:56分 白:28分 (持時間各5時間)

[ 次の譜へ ]