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 4月12日、日本棋院本院「清風の間」。6分前に山下敬吾が上座に、3分後に黄翊祖が下座についた。

 ふたりは1週間前にも本因坊戦リーグ最終戦で顔を合わせている。どちらが勝っても、少なくとも挑戦者決定プレーオフ進出という大一番。これを制した山下が井山裕太への挑戦権を獲得した。

 本局も負けられない一戦であることは同じだが、状況は大きく違う。両者とも黒星が先行し、残留争いに足を踏み入れかけている。

 黄は、黒1、3と1週間前と同じ布陣で臨む。「白4の小目の向きが珍しい。黒7の三間高バサミもそう。すでに一風変わった布石になっています」と解説の潘善琪八段。

 白10のコスミツケは黒13まで「二立三析」の好形を与え、少し前までは叱られる手だった。しかし囲碁AIが打ち出してからは、見ない日がないほど棋士の間で大流行。白の意図は何だろうか。「相手を重くして先手を取ろうとしています。黒5に単に白12と受けると、手を抜かれます」と潘解説者。これら従来よくないとされていたAIの手を打つことに、抵抗を覚えるベテラン棋士もいるが、山下は積極的に採り入れている。

 白は先手を取って14のハサミを急いだ。黄の手抜きに白16のボウシでかさにかかる。黄は黒17から21と切る作戦を決行した。

(内藤由起子)

 消費 黒:43分 白:52分 (持時間各5時間)

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