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 全勝で首位を走る張栩と、4月ラウンドで1敗を喫した芝野虎丸の直接対決。張が首位固めをするか、芝野が並ぶか。挑戦権の行方を占う大一番だ。

 開始20分前、張はすでに日本棋院「幽玄の間」の前室にいた。10分前になり、ようやく入室する。その5分前、芝野は先に上座に着き、目を閉じて待っていた。

 黒1、3の小目から5とカカるのは、張の好きな布石だ。1週間前、潘善琪八段との対局でも試みている。そのときは潘が白Aと受け、黒はBと構えた。張の得意形を避けようとしたのだろう、芝野は白6とカカる。

 黒7と高く両ガカリするのは、やや珍しい。「黒Aの小ゲイマならよくある布石です。張さんは変化が少なく簡明な高い両ガカリが多いですね」と解説の金秀俊八段。黒13まで定石のあと、白Aとハネるのは本手だが少々ぬるい。芝野は白14とハサんだ。

 黒15と一間にシマると、張はあぐらに直し、上着を脱ぐ。

 芝野は正座のまま。両手をひざに置き、不動の姿勢で熟考する。視線だけが盤上を目まぐるしく動く。

 そっと打たれたのは白16。一間ジマリにすぐツケるのは、AIが打ち始めた様子見だ。有力とされ、中国や韓国では大流行している。白16を凝視しながら、張はうんうんと何度もうなずいた。

(内藤由起子)

 消費 黒:7分 白:14分 (持時間各5時間)

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