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 みなさんは得意な戦型をお持ちだろうか。それも三連星や中国流といったメジャーな布陣ではなく、独自に編み出したものを。黒1から7に注目しよう。河野が黒番の際に愛用している。不思議なのは、これを取り入れる棋士が見当たらないということだ。

 河野と同じ小林光一名誉名人門下で本局解説の大矢浩一九段は少々厳しい評価だ。

 「私はやる気がしません。同じシマるなら黒5では右上に向かうのが自然だし、特に黒7は受け入れ難い。黒石が右辺に偏っています。人工知能の判定も高くない。これが追随者の出てこない理由と思います。彼は昔から頑固(笑)。今のところいい勝率を残しているので、しばらくはやめないでしょうね」

 名人戦リーグは黒番白番があらかじめ決められている。つまり黄は河野の得意陣形を予想して、対策を練ることが可能だ。楽しみにしていた記者を彼は大いに喜ばせてくれた。白2、4の両三々とは思い切ったものだ。

 互いに相手陣を無視するかのような着手が白16まで続いた。黒は17と左辺に突入。白はAから攻める一手に見えるが、黄の手は右辺白18に向かった。

 黒19の押し上げで右下がいい幅の構えになった。黒に不満ないように映るが、黄は巧みな様子見を用意していた。黒21と割り込まれた瞬間の白22だ。

(松浦孝仁)

 消費 黒:24分 白:46分 (持時間各5時間)

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