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 ただ一人無敗の張栩が挑戦権獲得に近づいている。あと3戦。すでに1敗者はおらず、本局に勝てば野球でいうところの「マジック1」となる。

 一流棋士の居並ぶ名人戦リーグを勝ち抜くのは簡単なことではない。しかも、残る相手(対戦順に余正麒、黄翊祖、高尾紳路)は全員が陥落の危機にあり、決死の覚悟で向かってくるだろう。3局すべてが白番というのも、黒番を得意にする張には若干の不安要素かもしれない。

 6月28日、日本棋院東京本院。過去2勝5敗と分の悪い余との一戦は、試練の対局となった。

 序盤はAI流が随所に現れた。AIの影響で星打ちが増えるなか、張は普段打たない白2、4の二連星を敷いた。黒5の二間ジマリ、白6とカカって8にシマるのもAIが好む手法。そして黒9の三々入りは、もはや定番である。

 白16から18と切り込むのは流行の手段。余は黒19と切り、27、29と上辺を重視した。

 白30は、黒25の一子逃げ出しの狙いを封じた。白Aとポン抜くより左辺一帯が立体的に見える。

 「黒35のトビは、右辺の黒模様の発展を考えた工夫の一手」と解説の林漢傑八段。黒Bと下辺の安定を優先するのは、白C、黒D、白E、黒Fを決められ、模様になりづらくなる。

(琴棋庵)

 消費 黒:27分 白:19分 (持時間各5時間)

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