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 午後4時前、すでに100手を超えるスピード進行だ。

 黒が3と右上の模様に芯を入れると、すかさず白4と様子を見る。黒Aと受けるのは味が悪く、いずれ簡単に手にされそうだ。ままよと放置して黒5と中央を補強し、上辺の模様拡大をにらむ。

 ここで白8と下辺大石の眼を奪った。参考図の黒1と受けたところで眼はできない。黒9と逃げれば白10と黒三子を確保し、じりっと地を増やしていく。

 山下は白12から右上に味をつけて26と上辺にヒラいた。「山下さんにしては穏やか。安全運転ですね」と蘇解説者。黒Bとツメてくれば、白30とツケて黒の大石への攻めを狙う。

 黒27から29ともたれて紛れを求めるが、白は着実に46とつながる。「情けないねえ」と高尾がつぶやいた。中央の黒の大石には一眼もなく、左下の隅も死に残りだ。

 午後5時半の夕食休憩を知らせるブザーが鳴った。形勢が離れていると休みを取らないケースが多いが、高尾はさっと立ち上がって部屋を出た。闘志はなえていないのかと思っていたら、休憩明け30分もしないうちに投了を告げる。

(内藤由起子)

 消費 黒:3時間1分 白:3時間32分 (持時間各5時間)

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