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 現在五冠王の井山に勝ち越している棋士は、どのくらいいるだろうか。実は鈴木、勝ち越しどころか100%の勝率を誇る。もっとも1戦1勝なのだが。鈴木と親交のある小松大樹三段からの情報を紹介しよう。この対局のしばらく前に「(対井山戦を1勝0敗のまま)逃げ切りたかったなあ」とぼやいていたとか。なかなかのユーモアのセンスだ。もちろん、簡単に負けるつもりなんてさらさらない。第一人者を向こうに回し、ひるむことなく戦い抜いた。

 序盤から積極的だ。白8、10のナダレにすぐ黒11とハネたのが珍しい。異端児的な一手と呼びたくなる。

 「黒15まで進んだときに白16のノビが成立する状況では、黒11は避けるのが当然とされていました。白16に続いて黒27は白18に切られてツブレ。黒A、白B、黒28のシチョウは成立しません。左上の白2がCの小目なら、シチョウ黒よし。黒11は十分考えられます」と解説の瀬戸大樹八段。鈴木は既存の常識を打ち破りにいった。

 黒23まで一本道。白24、26は井山らしい厳しい発想だ。隅をおとりに、黒を右辺と下辺の両方で低位にハワせようとしている。白24で穏健路線をいくなら32のノビだろう。黒Dが省けず、白Eの要点に先着できる。

 盤上は井山の狙いどおりに進み、白34まで。鈴木はここからどう動く?

(松浦孝仁)

 消費 黒:36分 白:26分 (持時間各5時間)

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