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 石を取ったり生きたりする詰碁の問題は、それを解くこと自体が目的なので、読みに従って突き進むだけ。しかし実戦の死活は生きるより取りにこさせたほうが、取るより逃がしたほうがいいこともある。そしてどちらを選択しても形勢がいいとき、対局者は悩む。

 1月17日、日本棋院中部総本部。中盤早々から羽根が攻め、孫がしのぐ展開となった熱戦は、両者の読みと判断がぶつかる実戦死活の局となった。

 羽根は第40~42期、3連続リーグ陥落を喫しながら、次期最終予選をすべて勝ち抜くという驚異的な復活力を発揮。前期、久々のリーグ残留を遂げた。開幕ラウンドが手空きだったため、これが初戦である。

 棋士8年目でリーグの椅子を手に入れた孫は、できるだけ早く白星がほしい。一流棋士の仲間入りをしたとはいっても、結果が出なければ"黄金の椅子"の座り心地もいま一つだろう。

 羽根の先番。白6に手を抜いて黒7とシマったのが珍しい。いきなり白8とツケるAI流は、リーグ初お目見え。黒9、11の堅実な受けは棋風の出るところか。1週間前に打たれた棋聖戦七番勝負第1局では、山下敬吾が黒Aとハネていた。

 右下の黒はすでに強いので、孫は白14、16を利かしとみている。

 白20はからい。手厚い碁形を好むなら白Bとハネる。

(琴棋庵)

 消費 黒:24分 白:25分 (持時間各5時間)

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