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 2月7日午前10時。対局開始を知らせるブザーが鳴っても、日本棋院東京本院「清風の間」には、羽根直樹と私のふたりしかいなかった。記録係の辻華新初段から、電車のダイヤが乱れ遅れるとの連絡が入っていた。

 2分たって「すみません、失礼しました」と山下敬吾が駆け込んだ。対局前にいつもやる瞑目のヒマもなく対局開始。遅刻時間の3倍、6分が山下の持ち時間から引かれた。

 黒番の羽根は1、3の小目から5とシマる。「羽根さんはAI流を打ちません。棋士の中で一番、AIから遠いかもしれません」と解説の金秀俊九段。

 白6のカカリに黒7も羽根流だ。白8から黒11まで流行の定石になるなら、黒7の位置は白壁から遠く、好ましいという理屈だ。

 白16のハサミに、羽根は38分かけて黒17とケイマした。山下も昼休みを挟んで30分考え白18とコスむ。「山下さんらしい腰が入った手ですが、白Aとオサえる一手でした」と金解説者。続いて黒18のカケには白B、黒C、白Dで白よしだ。

 黒19のスベリがあまりにぴったり。さらに白20から黒27も白がいまひとつ。「左辺の黒を止めていないし、白が厚いわけでもない。中途半端な感じです」と金解説者。白20はEがまさったという。

 山下は右上白28のツケに向かった。12と肩をついたときからの狙いだ。

(内藤由起子)

 消費 黒:1時間17分 白:1時間20分 (持時間各5時間)

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