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 六浦が息を弾ませながら、関西棋院の特別対局室「吉祥の間」にマフラーを巻いたまま入ってきた。対局開始の午前10時まで1分を切っていた。前日に名古屋から大阪へ移動。近くに宿を取っていたというから油断したのかもしれない。遅刻すると遅れた時間の3倍が持ち時間から差し引かれる。マフラーを外し、着座して数秒するや、開始を告げるチャイムが鳴った。ぎりぎりセーフだ。

 先番は村川。黒1、3、5の布陣は最近よく目にする。右上の二間高ジマリは趣向と評されるくらい珍しかったが、いまではアマチュアの間にもかなり浸透してきた。

 白6の一間高ガカリ以下12までも、よくある進行。左上黒13のカカリ一本から左下隅15の三々入りも、実戦例は少なくない。白26まで、おなじみの定石に従い、先手をとった村川は左上黒27、29のツケ二段へ。早い、早すぎる。開始から15分も経っていない。

 白30を考慮中に「時間付け、いいですか?」と六浦が記録係に声をかけた。これには驚いた。消費時間を気にする段階ではないはずだ。局後に真意を尋ねると、「リズムを取るため、つい聞いてしまうんです」。リーグ初参加の19歳は、肝が据わっている。

 白30以降も両者の着手のスピードはほとんど変わらない。白40のツケもノータイムだった。

(松浦孝仁)

 消費 黒:13分 白:10分 (持時間各5時間)

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