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 立秋の8月8日、東京は猛暑日。定刻15分前に「幽玄の間」をのぞくと、芝野虎丸はもう上座について、額や首筋の汗をハンカチでぬぐっていた。挑戦者が決まるプレーオフの大一番。気持ちがはやるのだろうか。いやそうではあるまい。早々と着席するのはいつものこと。汗は特別暑かったからだ。

 5分前に河野臨が現れ、互いに目を合わさず、無言で開始を待つ。こうして熱い戦いが始まった。

 前もって黒番白番が決められるリーグ戦と違って、プレーオフはニギリが行われる。結果は芝野黒番。またリーグ戦では白番上座だが、プレーオフではリーグ序列上位が上座となる。

 星、小目、三々と思い思いの立ちあがり。最近はダイレクト三々を嫌ってか、三々が増えた。少しだけ余談。三々の中でも黒1の三々は昭和の産物とされてきた。しかし江戸時代後期の黒1三々の棋譜が発見され、古碁研究者の間でちょっとした話題になっている。三々のルーツは意外に古かったのである。

 解説は今期の初リーグで健闘したものの、残留を果たせなかった孫喆七段。

 「黒11と肩を突いたところで、黒15を手抜くのも有力です。白28は激しい。最も自然なのは白Aの構えと思います」

 白28から思わぬ方向へと突っ走る。

(春秋子)

 消費 黒:16分 白:38分 (持時間各5時間)

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