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 碁石と碁盤は、地元の海峰棋院から提供を受けた。「海峰」とくれば囲碁ファンならピンとくる。そう、台湾の英雄、日本の宝、林海峰元名人(名誉天元)からその名がとられた。院長は子息の林敏浩さんが務め、本局の運営に多大な力添えをいただいた。穏やかで笑顔を絶やさないのは間違いなく遺伝だ。

 黒19のヒラキには、だれもがおやっと思うはず。遠慮したような、それでいて四線に構えている。威圧的に見えないこともない。

 平田「もちろん黒Aの二間ビラキもあります。ただ、ここは高くいきたくなるんです」

 もし白が22を省くと黒Bが有力となる。このあと黒Cのノゾキを食らって白D、黒Eなどと進行すれば、一気に白敗勢だ。

 よって白は22を逃せない。ただし、こうなれば白にも不満はない。左辺の黒が浮き上がったのだから。

 挑戦者は左辺をそのままにして右上隅に向かう。黒23にハサめば白24以下は予想できる。黒35までの構えに魅力を感じていたのかもしれない。

 黒の右辺の布陣、二間ビラキ二つの形は、どこか頼りない。なにか仕掛けられたら簡単に荒らされる。しかし、この考え方は古いそうだ。AIは逆に推奨しているという。

 名人は白40へ。石音が「スパン!」と聞こえたくらい軽やかな手付きだった。いよいよ戦いだ。

(松浦孝仁)

 消費 黒:31分 白:37分 (持時間各8時間)

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